2013年7月11日木曜日

「努力がないときに生じる優しさ」自分の歌を歌え。

君たちは、花をつくづくと見つめたことがありますか。花びらのすべてがあり、なんて驚くほどに的確なのでしょう。しかも、そこにはとてつもない優しさ、よい香り、美しさがあるのです。そこで、人が秩序を持とうとするとき、その生はとても的確になるかもしれません。しかし、それは、花のように努力がないときにだけ生じてくる優しさの質をなくしています。そこで、私たちにとって困難なのは努力なしに的確、明快で、のびやかでいることなのです。
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いつも何かになろうとしていたり、とても注意深く思考を整理していたり、ある思考を他の思考よりも好んで選択するのは、退屈な人物です。このような人物はとてもきちんとして、明確なのかもしれません。的確な言葉づかいをするかもしれません。とても注意深くて、相手のことを配慮するかもしれません。しかし、彼は生きることの創造的な喜びをなくしているのです。
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それで、何が問題なのでしょう。どうすれば、この生きるということの創造的な喜びを持って、感情がのびやかで、思考が幅広くありながらも、生において的確、明快であり、秩序を持てるのでしょう。
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私は、長くふさふさとした尾ときれいな毛をした二匹のアカリスが、十分間ほど止まらずに高い樹で、上へ下へと追いかけ合っているのを眺めたことを覚えていますーーそれはただ生きていることの喜びをでした。しかし、物事を深く感じないのなら、生に情熱がないのなら、君にも私にもその喜びはわかりません。良いことをしたり、ある革命をもたらすための情熱ではなくて、物事をとても強く感じるという意味での情熱です。
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それで、君たちはとても強い感情ーー情熱や怒りの感情を持ち、それらを見つめ、それらと戯れ、それらの真実を見出さなくてはならないわけです。というのは、単に感情を抑圧したり、「私は怒ってはならない。情熱的に感じてはならない。なぜなら、それはまちがっているから」と言うなら、心がしだいにある考えにこり固まって、それによってとても浅はかになると気づくでしょう。君たちは非常に利口で、百科事典のような知識を持っているかもしれません。しかし、強く深い感情の活力がなければ、君たちは香りのない花のようなものなのです。
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若いうちに君たちがこれらすべてのことを理解することが、とても重要です。なぜならそのとき、大きくなって君たちは本当の革命家になるからですーーある思想形態や理論や書物によるところの革命家ではなく、ひたすら融和した人間として、言葉の完全な意味での革命家であり、そのために君の中には古いものに汚染されたしみも残っていないのです。そのとき、心ははつらつとして無垢であり、したがってとてつもない創造力があるのです。しかし、このすべての意義をのがしてしまうなら、生はとてもさえないものになるでしょう。というのも君たちは、社会や家族、妻や夫、理論や、政治的、宗教的な組織に圧倒されてゆくからです。それで、君たちが正しい教育をうけることがとても切実であるわけです。それは君たちがいわゆる文明社会の殻を破って、反復する機会ではなく、本当に自分の中に歌があり、したがって幸せで創造的な人間である個人になるように、助けてくれる先生を持たなくてはならないということなのです。


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